●はじめに
「マイホームを買うとき、親から資金を援助してもらえることになったけど、贈与税ってかかるのかな?」
そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。住宅購入は人生で最も大きな買い物のひとつ。親からの支援は心強いものですが、贈与とみなされれば高額な贈与税が発生する可能性があります。
しかし、一定の条件を満たせば「住宅取得等資金の贈与税非課税制度」を利用することで、贈与税がかからずに済む場合があります。
本記事では、この特例制度の概要や注意点をわかりやすく解説します。
●制度の概要について
🔸 生前贈与とは?
生前贈与とは、生きているうちに財産を譲る行為のこと。一般的に贈与額が年間110万円を超えると、その超過分には贈与税がかかります。住宅資金のように高額な援助は、贈与税の対象になることがほとんどです。
📎【出典】国税庁「贈与税のあらまし」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm
🔸 住宅取得等資金の贈与税非課税制度とは?
直系尊属(親や祖父母など)から住宅購入のために資金の援助を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度です。
令和6年(2024年)の契約では、以下の非課税限度額が設けられています。
契約日:2024年1月1日~12月31日 | 省エネ等住宅 | その他の住宅 |
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非課税限度額 | 最大1,000万円 | 最大500万円 |
この制度は、贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与税の申告を行うことが前提です。
また、以下のような要件もあります:
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受贈者が18歳以上であること(※2022年改正)
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合計所得金額が2,000万円以下
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購入住宅が自己居住用で一定の床面積基準を満たすこと(50㎡以上、など)
📎【出典】国税庁「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
●注意が必要な点
🔹 「非課税だから申告不要」は間違い
この特例は非課税でも必ず申告が必要です。申告を忘れると制度が適用されず、結果的に多額の贈与税が課される恐れがあります。
🔹 資金使途は住宅購入に限られる
車や家具の購入、リフォーム費用には使えません。住宅取得に直接関係のある資金に限定されている点に注意が必要です。
🔹 タイミング管理も重要
「資金をもらった日」や「契約を結んだ日」が制度の対象期間から外れると、非課税にならない可能性があります。
贈与日と住宅購入時期のバランスには慎重な確認が必要です。
🔹 中古住宅の場合の注意点
中古住宅を購入する場合は、「築年数」「耐震基準適合」などの条件を満たす必要があります。とくに築年数は木造で20年以内、耐火構造で25年以内が目安です(条件を満たせば例外あり)。
📎【出典】国税庁「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度」Q&A
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/180622/index.htm
●まとめ
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親からの住宅資金援助は、非課税で受け取れる制度があるため、活用すれば大きな節税につながります。
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ただし、非課税の条件や申告期限を守らないと、思わぬ課税リスクが生じることも。
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安心して制度を活用するためには、早めに専門家へ相談し、適切な手続きを進めることが大切です。
※本記事は、掲載日時点における法令等に基づいて作成しております。