1.はじめに
「自動販売機で飲み物を買ったがレシートがでない」「屋台での会食費を現金で払ったが証憑がない」、
このような経験、経理担当や経営者の方なら一度はあるのではないでしょうか?
会社の経費として計上したいけれど、領収書などの証憑(しょうひょう:経費の証拠資料)がなければ処理していいのか不安になりますよね。実は、証憑がない支出でも、条件を満たせば経費として認められる可能性があります。
この記事では、領収書のない経費の取り扱い方について、具体的な事例とともにわかりやすく解説します。
2.背景・概要について
証憑とは?なぜ必要なのか
「証憑(しょうひょう)」とは、経費の支出を裏付ける資料のことです。具体的には、以下のような書類が該当します。
- 領収書
- レシート
- 請求書
- 契約書
税務上、経費として認められるためには、支出の内容を客観的に証明する証憑が必要です(参考:国税庁「帳簿書類等の保存義務」)。
ただし、「領収書をもらい忘れた」などのやむを得ない事情がある場合には、帳簿や社内の記録などを活用して合理的な説明ができれば、例外的に経費として認められるケースもあります。
証憑が出ない支出の例
証憑が出ない支出には、以下のようなものがあります。
- 自動販売機による飲み物などの購入
- 屋台・露店など接待食事代
- タクシーでの領収書(もらい忘れ)
3.実務への影響・注意点
証憑がない場合の会計処理方法
証憑がないからといって、すぐに経費計上をあきらめる必要はありません。以下のような方法で、信頼性のある記録を残しましょう。
✅ 出金伝票・社内精算書を活用する
出金伝票とは、現金での支払いを記録するための社内書類です。以下の項目を記載することで、証憑代わりとして利用できます。
- 支出日
- 金額
- 支出内容(できるだけ具体的に)
- 支払先(不明な場合は「屋台飲食」「自販機購入」などで可)
- 利用目的(接待、出張中の食事など)
📌 実務経験に基づくひとことアドバイス
「証憑がないからといってあきらめるのではなく、“何を・なぜ使ったか”を丁寧に記録しておくことで、税務署にも説明可能な資料になります。」
✅ 補足的な記録も重要
- スマホのメモや撮影記録
- 経費利用者の証言(社内報告書やメール履歴)
- 他の行動記録との整合性(出張報告書、交通費精算など)
このような「補完的資料」を組み合わせることで、経費としての信頼性が高まります。
注意点:虚偽記載や私的利用は絶対NG
証憑がないことを悪用して、私的な支出を経費に計上するのは重大な違法行為です。
税務調査で虚偽記載が発覚すれば、加算税や重加算税の対象になるおそれがあります。
経費処理においては「私的利用との線引き」がとても重要です。不安な支出は、事前に税理士等に相談しましょう。
4.まとめ
- 証憑のない支出でも、正しく記録すれば経費として認められる可能性がある
- 出金伝票や社内精算書で、記録の整合性と客観性を高めることが重要
- 虚偽記載や私的流用は厳禁。不明点は税理士等に早めに相談を
✅ 今すぐできること
「証憑がない支出が発生しそうな場面」では、事前に社内ルールを整備し、出金伝票のテンプレートを準備しておきましょう。
※本記事は、掲載日時点における法令等に基づいて作成しております