卵子凍結の費用は医療費控除できるか?
晩婚化が進み、医療技術も発展したことから、近年では卵子凍結を行う方が増えております。
この卵子凍結の費用ですが、「不妊治療」の一環として行われたものであれば、医療費控除の対象となります。
卵子凍結費用の医療費控除に関する見解
本稿執筆時点では、卵子凍結の費用が医療費控除に対象になるかについて国税庁からの個別回答は公表されておりませんが、国税庁では「不妊治療の費用」は医療費控除の対象となると公表しております。従って、卵子凍結が不妊治療の一部として行われた場合には医療費控除の対象となると解されます。
なお、その卵子凍結が不妊治療として行われたものであるかどうかは医師の診断に基づきます。
上記と似たケース(歯の矯正治療の費用)
歯医者の矯正治療の費用についても、その目的によって医療費控除の対象となるかどうかが異なります。
歯科の医療費については審美目的の場合は医療費控除の対象外、治療目的の場合は医療費控除の対象とされており、矯正治療については「歯並びが悪いことで虫歯や歯周病リスクが高い」といったような事情があり、歯科医師が治療の必要があると診断した場合には、医療費控除の対象になると考えられます。
上記と異なるケース(眼のレーシックの費用)
眼のレーシック治療については、レーシック治療がスタートした当初は医療費控除の対象となるかどうか、専門家の間でも意見が分かれておりました。しかしその後、「レーシック治療は医療費控除の対象となる」旨の公表が国税庁から出されたため、現在では問題なく医療費控除の対象とされています。
医療費控除の申告の際の留意点
卵子凍結や歯科矯正の費用は高額で税務リスクもあるため、確定申告の際には、医師や歯科医師の治療としての診断が伴う支出であることを説明・証明できるようにしておくことが望ましいです。
なお、当事務所でもこれらの医療費控除の依頼があった場合には、その費用が医師の診断等に基づく治療目的のものかどうか納税者に確認させていただくよう努めております。趣旨をご理解の上、ご回答いただきますようお願い申し上げます。