1. 大切な人へ財産を遺す方法|「死因贈与」と「遺言」どちらを選ぶべき?
「特定の誰かに財産を遺したい」と考えたとき、一般的には「遺言」が思い浮かびますが、もう一つの手段として「死因贈与」があります。
「自分が亡くなった後に財産を渡すという点では、どちらも同じではないか?」「税金や手続きにどのような違いがあるのか?」と迷われる方が少なくありません。
死因贈与と遺言は、「死亡によって財産が移転する」という効果は似ていますが、法律上の性質(契約か単独行為か)や、不動産にかかる税務コスト(登録免許税・不動産取得税)が大きく異なります。本記事では、それぞれの特徴と実務上の注意点をわかりやすく解説します。
2. 死因贈与と遺言(遺贈)の基本
遺言(遺贈):遺言者が単独で行う「単独行為(相手の合意がなくても一人で効力を生じさせられる法律行為)」。相手に内緒で作成でき、いつでも自由に書き直す(撤回する)ことができます。(民法第960条、第1022条)
死因贈与:「自分が亡くなったら財産をあげる」「もらいます」という、生前の双方の合意に基づく「契約(お互いの合意で成立する約束)」。契約であるため、受贈者(受け取る人)の承諾が必須です。(民法第554条)
3. 死因贈与と遺言(遺贈)の論点比較
概要をまとめると以下の通りとなります。
遺言(遺贈) |
死因贈与 |
|
| 相手方の合意 | 不要(単独行為) | 必要(契約行為) |
| 撤回の自由 | 撤回は自由 | 一方的撤回は困難 |
| 相続税・贈与税 | 相続税が課税 | 相続税が課税 |
| 不動産取得税 | なし | 課税 |
| 不動産登録免許税 | 0.4%課税 | 2%課税(5倍) |
POINT対象財産が不動産の場合、税負担においては「死因贈与」の方がデメリットが多い!
4. 死因贈与が向いているケースとは?
遺言は本人の気持ちが変わればいつでも書き直せるため、受け取る側からすると「本当に遺産をもらえるか分からない」という不安定さがあります。
一方、死因贈与で「介護や生活費の面倒を見る代わりに自宅をあげる」という負担付死因贈与契約を結ぶことで、受贈者が介護などの負担を履行している限り、贈与者が勝手に契約を破棄・撤回することは信義則上できないこととなります(最高裁判例昭和57年4月30日)。
「将来の介護や支援を条件に、確実に相手へ財産を託したい」という局面では、死因贈与が強力な選択肢となります。
5. まとめ:使い分けの判断基準
「死因贈与と遺言のどちらを選ぶべきかは、引き継ぐ財産が不動産か預貯金か、誰に渡すのか、そして将来の介護や生活支援の有無によって最適解が分かれます。
遺言が適しているケース家族・法定相続人への財産の承継することが中心のとき
死因贈与が適しているケース相続権のない親族や第三者に介護等の負担をお願いしたいとき(「確実に渡す」約束をして相手を安心させたいとき)
当法人では、提携司法書士・弁護士と連携し、法務上の安全性と税務コストの最小化を両立した生前対策をご提案しております。大切な財産とご家族の想いをつなぐために、まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は、掲載日時点における法令等に基づいて作成しております。