はじめに
経理担当者の方であれば、「交通費の精算」「立替経費の処理」は日常業務のひとつかと思います。
特に交通系ICカード(SuicaやPASMOなど)を使った移動の経費精算では、次のような悩みを感じたことはありませんか?
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ICカードへのチャージは経費になるのか?
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チャージ時点で処理していいのか、実際に使ったときなのか?
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どのように証憑を残せばいいのか?
この記事では、ICカードへのチャージと経費処理のタイミングに関する正しい知識と、実務で注意すべきポイントを解説します。
立替経費とICカードチャージの関係性
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立替経費とは、従業員が一時的に自己負担で支払った経費のこと。会社は後から精算します。
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交通費に関しては、ICカードによる移動が一般化しており、チャージ(入金)時点で経費と考えるかどうかが論点になります。
会計処理の原則:実際の支出と費用認識
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会計上は「実際にサービスを受けたタイミング」で費用を計上するのが原則(※国税庁「経費計上の原則」参照)。
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よって、「チャージ=前払金(資産)扱い、交通利用=費用計上(旅費交通費)」とするのが基本です。
📚【参考】国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
誤りやすい処理方法とそのリスク
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誤処理例:「チャージ時に全額を旅費交通費として処理」
→ これは税務上・会計上の誤りとなる可能性があり、否認リスクや税務調査時の指摘対象になる恐れがあります。
正しい処理方法のフロー
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チャージ時:前払金として資産計上(例:仮払金や立替金)
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利用時:使用履歴に基づいて旅費交通費に振り替え
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証憑の取得:利用明細の印刷 or アプリ画面のスクリーンショットを保存
実務での簡略化方法
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毎回の利用履歴を精緻に追うのは困難なケースもあります。
→ 定期的なまとめ精算(月次・週次)+ICカードの履歴印字やモバイル明細の活用で、実務の負担を軽減できます。
📝 ICカードの履歴は、券売機・アプリで最大過去20件〜100件程度まで確認可能。こまめなダウンロード・保存が重要です。
まとめ
交通系ICカードへのチャージは、チャージ時点では経費にならず「前払金」扱いが原則です。
経費処理は、実際に移動したタイミングで、利用履歴に基づいて行うのが正しい方法です。
経理担当者としてミスのない処理を行うために、以下の対応をおすすめします:
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ICカードの履歴管理方法を見直す
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経費精算フローに「ICカード利用時の処理ルール」を追加する
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不明点や不安がある場合は、税理士に事前相談することが重要です
※本記事は、掲載日時点における法令等に基づいて作成しております。