iDeCo(イデコ)と小規模企業共済はどっちが有利?

所得税
(1)iDeCo(イデコ)と小規模企業共済はどちらが有利か

個人事業主や中小企業の役員の方が、老後資金の貯蓄と節税対策を目的として比較検討されることの多い「小規模企業共済」と「iDeCo(イデコ)=個人型確定拠出年金」についてお話します。
この2つは、どちらも老後資金の貯蓄を目的とした制度で、同様の税制の優遇があるため「違いがよく分からない」という方が多く、相談を受けることもあります。
どちらが有利か?と問われた場合、それぞれの制度に長短があるので必ずしも「100%こちらが有利です!」と断言することはできません。ただ、どちらがお勧めがと聞かれれば、推奨するのは小規模企業共済です。

(2)iDeCo(イデコ)と小規模企業共済の比較

主なポイントの比較は以下の通りです。税制の優遇は同じですが、それ以外の部分はかなり細かな違いがあります。

小規模企業共済 iDeCo(イデコ)
加入資格 個人事業主、小規模企業の会社役員 なし(20歳以上60歳以下)
運営団体 独立行政法人中小企業基盤整備機構 民間金融機関(銀行、証券会社等)
掛金 月額1,000~70,000円 月額5,000~68,000円
掛金以外の手数料 なし あり
(金融機関ごとに異なる)
税制の優遇 掛金の全額が所得控除の対象 掛金の全額が所得控除の対象
途中解約
(任意解約は元本割れリスクあり)
不可
(掛止めは可能)
貸付制度 あり なし
掛金の運用方法 中小企業基盤整備機構が運用 自分で投資商品を選択して運用
受け取れる時期
(死亡したらどちらも死亡時)
解約したとき、
事業廃止または役員退任したとき
60歳~65歳になったとき
(加入期間に応じて年齢が異なる)
(3)節税効果について

どちらも国が推奨している制度で、「掛金の全額が所得控除の対象」という全く同じ税制優遇が受けられます。
この優遇による節税効果は、加入者の毎年の所得の状況に応じて異なりますが、例えば給与年収800万円の単身者の場合、現行税制では掛金×30%(所得税20%+住民税10%)相当の節税効果が得られます。
もし掛金が年間60万円(月5万円)だとすると、1年間で18万円(60万円×30%)の節税効果が受けられる計算です。
将来掛金が全額戻ってくることを前提に考えますと、年間42万円(60万円-18万円)の支出で、60万円の貯金ができるイメージです(掛金が全額戻ってくるかどうかは、加入する制度や受取時の条件によって異なります)。

(4)小規模企業共済をお勧めする理由

それぞれの制度にメリットがありますが、相対的にみて小規模企業共済の方がメリットが多いため、お勧めしています。
①小規模企業共済のメリット
☑ 一定条件の下で元本が保証されている
☑ 途中解約ができる(加入から1年以上経過すれば、いつ解約しても掛金の80%以上は戻る)
☑ 貸付制度がある
②iDeCoのメリット
☑ 自らの運用次第では将来受給できる金額が大きく増える可能性がある

(5)まとめ

上記の通り、一般論としては小規模企業共済の方がお勧めです。
ただ、どちらに加入するかは最終的には自己責任となりますので、それぞれの制度をしっかり理解した上でご加入ください。
より詳しく知りたい方は、小規模企業共済のホームページ又は金融機関のiDeCoの商品情報ページ等をご確認いただけますと幸いです。
(とくにiDeCoは金融機関ごとに手数料や投資商品のラインナップが異なるのでご注意ください)

 

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