交通反則金は経費(損金)になるか?
駐車違反、一時不停止、速度超過、、、
仕事で車を運転する機会が多い方の中には、ちょっとした不注意で交通違反をしてしまった方もいるのではないでしょうか。
警察に取り締まりを受けて支払うことになったその交通反則金、会社が負担した場合の取り扱いですが、残念ながら経費(損金)にすることはできません。
国税庁では、交通反則金などの取り扱いを法令及び通達にて明確に定めています。
(1)業務上の罰金等の税務上の取り扱い
国税庁では、業務上生じた交通反則金を含む罰金等について、次のとおり「損金不算入」と定めています。
法人税法基本通達9-5-12
法人がその役員又は使用人に対して課された罰金若しくは科料、過料又は交通反則金を負担した場合において、その罰金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたものであるときは法人の損金の額に算入しないものとし、その他のものであるときはその役員又は使用人に対する給与とする。
(2)業務外の場合
上記通達のとおり業務上の法令違反である場合は損金不算入ですが、法令違反が業務に関連しないものであるときは、そもそも会社が負担すべき合理性を欠くことになります。そのような本来個人が負担すべき支出を会社で負担した場合には、その役員又は使用人に対する「給与」として取り扱われます。
給与として取り扱われた場合、その違反をしたのが使用人(会社と雇用契約にある人、いわゆる従業員)であるときは、会社側では給与して損金になりますが、使用人側では給与所得として所得税や住民税が課税されます。
なお、違反をしたのが役員(取締役、理事、社長など)の場合、役員給与に該当し、損金算入要件(定期同額給与など)を満たさないことになるので、会社側は損金にはならず、しかも役員側では給与所得として所得税や住民税が課税される結果となってしまいます。
◆罰金等の税務上の取り扱いまとめ◆
業務上の法令違反 | 業務外の法令違反 | |
使用人の場合 | 損金不算入 | 損金算入 (給与として本人には所得税等が課税) |
役員の場合 | 損金不算入 | 損金不算入 (給与として本人には所得税等が課税) |
(3)交通違反で事故を起こした場合の賠償金などの取り扱い
法令・通達より損金不算入として定められているのは、あくまで行政罰や刑事罰として課された法令に基づく「罰金等」です。
業務中の一時不停止で交通事故を起こしてしまった場合など、法令違反に起因して発生する車の修理代や自己相手への見舞金、賠償金などは(その事故が行為又は重大な過失によるものでない限り)その全額が会社の損金として認められます。
以上が交通違反の罰金等の税務上の取り扱いの話です。
損金算入できるかどうかにかかわらず、法令を遵守して安全運転を心がけていただければと思います。
※本記事は、投稿日時点における法令等に基づいて作成しております