子のいない夫婦は要注意!?配偶者に全財産を残すためには「遺言書」が必要!

相続税・贈与税

1. 「子どもがいない夫婦」の財産、すべて配偶者にいくと思っていませんか?

「私たちには子どもがいないから、万が一のときは長年連れ添った妻(夫)が全財産をそのまま相続するはず」と考えているご夫婦は非常に多くいらっしゃいます。

しかし、法律上のルール(民法)では、子どもがおらず親(直系尊属)も他界している場合、亡くなった方の「兄弟姉妹(義理の兄弟姉妹)」も法定相続人になります。

そのため、遺言書がなく夫婦のどちらかが他界した場合、自宅不動産の名義変更や銀行預金の解約に「兄弟姉妹全員の実印と印鑑証明書」が必要な「遺産分割協議」を行わなければなりません。疎遠な親族や義兄弟との交渉は、遺された配偶者にとって極めて大きな心理的・実務的負担となります。

本記事では、遺された配偶者に100%財産を遺すための遺言書の重要性と注意点について、わかりやすく解説します。

 

2. なぜ兄弟姉妹が相続人になるのか?「遺留分なし」が最大のポイント

子どもがいない場合、相続順位は「第2順位:直系尊属(親・祖父母)」、親世代がすでに亡くなっている場合は「第3順位:兄弟姉妹」へと移ります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は「配偶者:4分の3」「兄弟姉妹:4分の1」となります。

POINT民法第1042条において、遺留分が認められているのは「配偶者」「子」「直系尊属」と定められており、兄弟姉妹には遺留分が認められていません!

👉生前に「妻(夫)に全財産を相続させる」という有効な遺言書を1通作成しておくだけで、兄弟姉妹から遺留分侵害額請求(遺留分を取り戻す請求)をされることなく、全財産をスムーズに配偶者へ承継させることができます。

遺言書がない場合 「全財産を配偶者に」と遺言書がある場合
遺産承継手続き 配偶者と兄弟姉妹全員の協議、署名、押印が必須 配偶者が単独で手続き可能
遺留分侵害請求権 なし なし

3. 遺言書は「公正証書遺言」または「自筆証書遺言書保管制度」を選ぼう

自宅で手書きしただけの遺言書(自筆証書遺言)は、紛失・偽造のリスク、形式不備による無効リスク、家庭裁判所の検認手続きの負担が生じます。公証役場で作成する公正証書遺言や、国の制度である自筆証書遺言書保管制度を利用し、確実に執行できる遺言書を整えることが大切です。

とくに自筆証書遺言書保管制度は、手続きが少なく、低コストで遺言書をしっかり保管できるのでおすすめです。

4. 配偶者が相続する場合の税務上のメリット

配偶者が財産を相続する場合、税制上の大きな優遇措置が受けられます。

配偶者の税額軽減(配偶者控除) 配偶者が取得した遺産のうち、1億6,000万円(または法定相続分相当額)までは相続税が一切かからない制度です。
居住用財産の小規模宅地等の特例 居住用財産の土地については、最大330㎡まで評価額が80%減額できる制度です。

 

要注意⚠上記の特例を適用して「納税額が0円」になる場合であっても、所轄税務署へ期限内(相続開始日から10か月以内)に相続税申告書を提出しなければ、これらの特例は受けられません。申告漏れで追徴課税ならないよう注意が必要です。

 

5. まとめ

子どものいないご夫婦にとって、「遺言書の作成」は選択肢の一つではなく、必須の身だしなみと言えます。

兄弟姉妹には遺留分がないため、法律に則った遺言書を準備するだけで、大切な配偶者の生活基盤を確実に守ることができます。

まだまだ先のことと思わず、お早めに、万が一に備えておきましょう。

 

※本記事は、掲載日時点における法令等に基づいて作成しております。個別の税務判断や遺言書作成にあたっては、税理士や弁護士などの専門家にご相談ください。

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