事業のお金と個人のお金、きちんと分けないとどうなる!?個人事業主と法人役員で異なるポイントを詳しく解説

事業のお金と個人のお金、きちんと分けないとどうなる!?個人事業主と法人役員で異なるポイントを詳しく解説

個人事業主から法人成りをしたばかりの経営者様や、新しく経理を担当することになった方から多く寄せられるのが「個人のお金と事業のお金」に関するご相談です。

監修: 事務所税理士
公開日: 2026-09-11

「事業資金が不足したため個人のお金を補填した」「会社の経費を個人のクレジットカードで立替払いした」といった場面において、個人事業主と法人役員では使用する勘定科目や税務上のリスクが大きく異なります。
本記事では、両者の違いや適切な勘定科目の選定、精算時に迷いやすい端数処理のポイントについて分かりやすく解説します。

個人事業主と法人役員における根本的違い

個人事業主と法人役員では、税務上・法律上の「自分と事業の関係性」が大きく異なります。まずはこの前提の違いを正しく理解しておきましょう。

個人事業主(自分=事業)

法律上の扱い: 事業者個人と事業体は一体です。
精算の考え方: 個人の財布から事業資金を出したり、事業のお金を個人が使ったりしても、基本的には単なる「事業主個人の資金移動」として扱われます。

法人役員(自分≠会社)

法律上の扱い: たとえば自分が100%出資する社長であっても、法律上「社長個人」と「会社」は完全な別人格(法人)です。
精算の考え方: 個人の財布から会社にお金を入れる行為は、税務上「個人から会社への資金の貸付」を意味し、厳格な会計処理が求められます。

仕訳処理の違い(個人事業主と法人役員の比較)

個人事業主か法人役員かによって、仕訳処理上の勘定科目や翌年度への影響が次のように異なります。

①事業用口座にプライペ-トの個人資金10万円を入金したとき

個人事業主

借方 金額 貸方 金額
普通預金 100,000 事業主借 100,000

👉事業主借は決算時にリセットされ、翌年度には繰り越されない

法人役員

借方 金額 貸方 金額
普通預金 100,000 役員借入金 100,000

👉役員借入金は翌年度にも繰り越され、残り続ける

②事業用口座からプライペ-トな費用5万円の支出をしたとき

個人事業主

借方 金額 貸方 金額
事業主貸 50,000 普通預金 50,000

👉事業主貸は決算時にリセットされ、翌年度には繰り越されない

法人役員

借方 金額 貸方 金額
役員貸付金 50,000 普通預金 50,000

👉役員貸付金は翌年度にも繰り越され、残り続ける

③事業用消耗品1万円を個人のプライペ-トなクレカで決済したとき

個人事業主

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 10,000 事業主借 10,000

👉事業主借は決算時にリセットされ、翌年度には繰り越されない

法人役員

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 10,000 役員借入金 10,000

👉役員借入金は翌年度にも繰り越され、残り続ける

法人役員の借入金・貸付金が貯まるリスク

上記の通り、法人役員の場合、「社長個人」と「会社」は完全な別人格となり、その間における資金移動は資金の貸し借り(役員貸付金、役員借入金)として処理され、精算しない限り貸借対照表に残存し続けるため、定期的な精算処理が重要です。

この役員貸付金、役員借入金が残り続けた場合、以下のような税務リスクがありますのでご注意ください。

【注意】法人の「役員貸付金」が累積することのリスク
👉役員貸付金に対して一定の利息徴収が必要であり、未精算のままだと役員賞与と認定されるリスクもあります。

【注意】法人の「役員借入金」が累積することのリスク
👉将来の相続時に「個人の貸付金財産」として相続税の課税対象になります。

まとめ・今後の対応

個人事業主から法人成りしたタイミングや、決算直前の時期は、帳簿上の仕訳ミスや立替金の放置が発生しやすくなります。経営者や経理担当者の皆様は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 「個人」と「事業・会社」の銀行口座・クレジットカードを完全に分離する
  • 決算書を確認し、役員借入金や役員貸付金が不自然に膨らんでいないかチェックする
  • 精算時の端数処理ルール(切り捨て等)と精算フローを社内で明文化する

※本記事は、掲載日時点における法令等に基づいて作成しております。

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